温故知新  示現寺 (熱塩加納村)

tamon-wat2004-08-31

東北の片隅に、こんな素晴らしいお寺があること、声を大にして叫びたいですね。
もともとは真言密教の寺だったのを永和元年(1375)源翁和尚が移住し、曹洞宗に改宗、山号寺号を護法山示現寺に改めたといいます。源翁和尚という僧は、あの那須殺生石を法力により砕いたという伝説の高僧です。殺生石の伝説の起源は遠くインド、中国にまでさかのぼり、京の朝廷物語へと続くスケールの大きなものなんです。
その伝説の巨人源翁和尚が最後に居を定めた地がここ、熱塩だったのです。金づちのことを玄翁(ゲンノウ)っていいますが、これはこの源翁和尚の名前からきているのです。このことは見過ごしてはならないことで、いわば職人さんの道具の守り本尊のような方。「源翁忌」には道具供養などを催して、全国から職人さんが集まる、職人さんの聖地にすること考慮してもいいんじゃないでしょうか。
また、特筆すべき二点目として、この寺が温泉をもっているということ。正確には温泉権をもっているということですが、示源寺の周辺にある「熱塩温泉」の温泉源は、この示源寺が所有するものなのです。食塩泉で70度を越す熱さです。温まる事この上なし、一度体験なさってはいかがでしょうか。大変に素朴な共同湯もあります。150円という安さ。半混浴の癒しを味わってみてください。
示源寺境内には、日本のナイチンゲールといわれた瓜生岩子の碑、明治の自由民権運動家三浦文次たちの墓などがあり、護法山の由来になった寺をとりまく五つの山々には散策のできる三十三観音をたどる小径、そしてうっそうと茂る杉木立のなか静かに眠る源翁和尚の墓など、こころ静かな自分を発見させる「古」(いにしえ)があります。日常とは違ったあなたに会えるかもしれません。