2004-01-01から1年間の記事一覧

額中の美

京都や奈良の名だたる庭園を訪れると、「静なる庭園観賞」すなわち座したままで庭園を楽しむことの眼福をあらためて知ることができます。障子や襖を取り払って、柱、長押、敷居や縁などの直線をもって額となし、内側である座敷から庭園を眺めれば、庭園はあ…

暖かい師走

初雪の便りから、はや10日も経ちました。寒波はいっこうに訪れず、過ごしやすい日々が続いています。山のスキー場も人工降雪機が活躍していますが、なにぶん気温が高いため作るそばから溶けていくという悲しい状況です。スキー場の収支は12月の売り上げ…

ハロッズに喜多方の酒が並んだ

去る11月10日、遠くロンドンの地で日本酒の試飲会が開かれました。高級百貨店ハロッズの店頭です。日本の酒蔵4社が参加したこの試飲会では、「米で作った酒がこんなにフルーティだとは・・・」との驚きの声があがったそうです。この試飲会で飲まれたお…

飯豊山初冬

白冠を頂く飯豊山を朝な夕なに見上げる日々となりました。この巨大な山塊は会津盆地を優しく抱き、育み、見守る母なる山なのでありますが、こうして白きたおやかな峰々に姿を変えると、むしろ神々しくさえ思えてくる、そんな気品に満ちた名峰だと思っていま…

初雪だより

昨日、11月30日の朝は雪で始まりました。初雪です。例年より10日ぐらい遅いとのこと。それでも久方ぶりの銀世界に「ほうっ、」とばかりに眺め入ってしまいました。毎年のことですが、この初雪をみる気持ちというものは期待と諦観とが微妙に混じりあっ…

冬支度

暗い朝を迎えています。目覚めればまだ夜半と安心する耳に、牛乳ビンのぶつかる音や新聞配達のバイクの音などが入ってきて、夢心地の暖かさから引き離そうとたくらんでいます。布団の恩恵に浴さない鼻先が今朝の寒さを感じ取っていて、「あと10分・・・」…

黄金の舞い

音も無く黄金の末廣が舞い落りている。 私は古い拝殿に腰をおろしてぼんやりと落葉を見つめている。 今を舞う大銀杏の落葉と、 幾百年の沈黙を守る古色の拝殿と、 過去と現在とが優しく私を包んでいる。 ゆっくり、ゆっくりと安堵感が浸していく。 母の胎内…

雄国山霧中

会津盆地は深い霧に包まれていました。仕事を終えて帰途についた私の眼に、霧の海に浮かぶ雄国山が飛び込んできました。それはあたかも大海を進む鉄(くろがね)の船のようで、じつに雄雄しく迫力のある軍艦のように思えたのです。いつもの雄国山は雄大な山…

百代の過客

晩秋の終章を飾るもの、それが新宮熊野神社「長床」にあります。 秋と冬とのはざ間にあって、過ぎ行く季節を惜しむかのように、いま「長床」は美しく輝いていました。700年もの沈黙を守る拝殿と、「いま」を過ぎようとしている大銀杏の落葉とが、歳月の移…

雄国山秋天

低気圧の接近で、また天気が崩れてきます。今年の秋は度々の台風と新潟中越の大地震とでなにもかも狂ってしまったかのよう、抜けるような青空の日々が続くことが少なかったですね。掲載した写真はそんな貴重な快晴の日に撮った雄国山です。磐梯山の西隣の休…

晩秋の雑木林

ついこの間まで色づいた葉がきらびやかな錦を織り成していたのに、ふと気がつけば林の中は陽の光であふれ、仰ぎ見れば澄んだ秋の青空がまぶしいほどに私の眼を射しています。足元にはふんわりと、暖かそうな落ち葉の絨毯が出来ていて私の歩みを優しく受け止…

「古今悠々」 千年浪漫 長床の秋

晩秋の季節になると、どうしてもこの場所へ足が向いてしまうのです。 新宮熊野神社「長床」。幾百年もの風雪に耐えてなお、堂々とした姿を見せる古色の拝殿。いま、境内の銀杏の木々があざやかなる黄色の彩りを添えて、経年の美は歓喜の絶頂に近づいています…

裏磐梯秋色

10月下旬から11月上旬にかけて、裏磐梯は燃え立つような秋の色に染まります。 数多くの湖沼とあいまって、その秋色の風景は私たちをひととき感動の境地へと誘うかのようです。 とある先日、快晴に誘われて裏磐梯へと足を伸ばしました。高原の紅葉の歩み…

合併後の「新市名」

去る27日、合併協議会において合併後の新市名が投票により決定しました。いわく「喜多方市」です。「喜多方市」と「会津喜多方市」との二者択一の投票で、結果は33票対22票との発表がなされました。このHP上でも書いていたとおり、私は「会津喜多方市…

蔵での結婚式

今月2日、大和川酒造北方風土館「昭和蔵」にて一組のカップルが誕生しました。喜多方出身の新郎新婦が「蔵の街喜多方」らしい独自の式を挙げたいとの思いから実現したとのこと。このお二人の思いに共感の拍手を贈り、併せてお二人の前途が洋々たるものであ…

温故知新 「中善寺」

市中心部より北東、関柴の地にある古刹である。真言宗の寺だがその開基、開山は不詳。しかしながら、境内薬師堂に座す薬師如来坐像がこの寺の長い歴史を物語っている。すなわち寄木造りで漆箔、螺髪は小にして穏やかなる丸顔。藤原時代の面影を残した鎌倉時…

台風の過ぎた夕景

さんざんに列島を痛めつけた台風23号が三陸沖に去ったのが今朝早くでした。 すぐにでも台風一過の青空が見れるかと、スタジオのガラス窓を見上げてばかりいました。低く垂れ込めた雲はなかなか立ち去ろうとはせず、思わせぶりにチラチラと青空の断片をのぞ…

新しい市の名前

合併協議会が順調に推移しているようです。喜多方市、塩川町、山都町、高郷村、熱塩加納村の5市町村の合併は来年には結実すると思われます。現在の懸案事項というか、最大の懸案事項が新しくできる自治体の名前ではないでしょうか。一般公募も行われました…

秋便り

いつもの散歩道であけびがたわわに実っていました。林道のすぐ脇で、手を伸ばせば誰でもが採るところにありました。台風から続く長雨のせいで人が歩かなかったせいなのか、それともあけびの実などには興味も持たなくなってしまったのか、理由はわかりません…

ベロタクシーと韃靼蕎麦

喜多方の街に「ベロタクシー」が走るらしいですね。ベロタクシーとはドイツで生まれた人力三輪車のことで、排気ガスを出さない交通手段として各地でもてはやされています。「ベロ」とはラテン語で自転車という意味、既に京都、大阪、広島、東京原宿、沖縄な…

温故知新 願成寺(がんじょうじ)

市内北部、上三宮町の中心にある古刹です。浄土宗の寺で、山号は叶山。この一帯が古来より「加納の荘」と呼ばれていたことに起因しています。開山は嘉禄3年(1227)、鎌倉時代の初期にあたり、当時の領主佐原五郎左衛門の発願と思われます。 街道の面影…

蔵の街 喜多方 (南町通り)

「蔵してる通りフェスティバル」 喜多方の中心部はかつての小田付村と小荒井村とが一緒になって出来上がった街です。田付川の東岸が旧小田付村、西岸が旧小荒井村というわけで、現在の市役所があるのが西岸ですから旧小荒井村になります。南町通りがあるのは…

喜多方の「街づくり」

「地域の文化資産を再発見、再認識すること。」 喜多方とご縁ができて、喜多方の持つ独自性、魅力というものを考える機会が増えました。歴史や伝統を見聞きするたびにどんどんと喜多方が好きになっていきます。今、私たちの世界はグローバリゼーションとロー…

蔵の街 喜多方 (下三宮集落 その5)

下三宮集落のお蔵にはそれぞれの表情があって、その個性を見比べて歩くのもおもしろい歩き方です。個性には大きさや仕上げの方法、経年のヤレ観などから受ける印象が第一ですが、時には細部の造作などに「ハッ」とすることもあるんです。「コテ絵(鏝絵)」…

快晴 (台風一過の磐梯山と猪苗代湖)

日本列島に大変な被害をもたらした台風21号も、幸いにして会津では暴れずに通過していきました。一夜が明けた会津ではごらんのとおりの快晴が一日中続きました。 ちょっと走って猪苗代湖の志田浜に寄ってみたのです。志田浜の湖畔からはまるで絵に描いたよ…

蔵の街 喜多方 「下三宮集落」その4

集落のいちばん奥まった家で車を洗う人がいました。集落の中はひっそりと静かで、動きのある光景は乏しかったのです。そんな静けさの中、集落の最奥で初めて生活の動きをみることができました。私が挨拶をすると、彼は小さくうなずきを返し、また黙々と洗車…

蔵の街 喜多方 (下三宮集落その三)

静かな集落の中を歩いていると、路地の向こう側から洟垂れ小僧だった私自身が走ってくるような、そんな錯覚に陥ります。唐草模様の風呂敷をマントにして、チャンバラごっこに夢中だった私が走ってくるのです。喉が渇けば井戸の水をゴクゴクと飲み、小腹が空…

ジモッティ(喜多方市民)のいくラーメン店

今回は「丸見食堂」です。喜多方駅前という好立地にあるため「行ったよ」という方もたくさんいらっしゃることと思います。私の注文は「ラーメン」。あつあつのラーメンはあっさり味。にぼしだしのかおりが、ほのかにただよってきます。麺はもちもち感の強い…

「第9回全国メセナネットワーク会議」出演してきました。

9月24日、喜多方プラザ文化センターにて標記の会議が開催され、私も出演してきました。北は北海道から、南は熊本、佐賀まで全国16地区からの参加による全国大会、今年は東京芸術大学の熊倉純子助教授をお招きして基調講演「地域文化活性化のための仕組…

収穫の進む会津盆地 (恋人坂から)

九月も下旬になると、黄金色の湖のあちこちで収穫の光景を眼にします。大型の機械を使った収穫風景は「稲刈り」という表現とは少し違った作業に見えてしまいます。 大型のコンバインは稲わらさえも出さず、あの懐かしい「わらボッチ」が並んでいるたんぼも少…