蔵の街 喜多方 (下三宮集落その三)

tamon-wat2004-09-27

静かな集落の中を歩いていると、路地の向こう側から洟垂れ小僧だった私自身が走ってくるような、そんな錯覚に陥ります。唐草模様の風呂敷をマントにして、チャンバラごっこに夢中だった私が走ってくるのです。喉が渇けば井戸の水をゴクゴクと飲み、小腹が空けば畑のキュウリを失敬して食べていたあの頃。下三宮集落の中には今もイガグリ頭のあなたが走り回っています。
次の角を曲がったとき、私は圧倒的な重量感を感じて足が止まりました。細い路地の両側に白漆喰のお蔵と土のお蔵とが連続しています。その迫力に圧倒されていました。大都市の高層ビルの対極にある存在だと確信しました。何代にもわたって続いてきた人の息遣いが聴こえてきます。暮らしの様相が見えてきます。そして、ひょっとするとあなたの忘れてきたものまで、思い出すかもしれませんね。