温故知新 「郷土資料展示館」

喜多方プラザに隣接して、大正時代の酒造蔵を利用した資料館があります。一階は自由民権運動関係の資料や、社会教育の先駆者蓮沼門三の資料等が展示してあります。二階には会津の民俗資料、伝統産業の資料等が展示されています。隣の建物は天保時代の手代木家住宅を移築したもので、喜多方地方によく見られた曲り家です。県指定文化財で郷土文化伝習館として使われています。旧上三宮の「肝煎」、つまりは行政権を持つ村のリーダー、村長のような格の家でした。江戸時代の農村指導者、村役人が務めを果たすのにふさわしい造りを見ることができます。明治元年(1868)の農民一揆の時の柱の傷には、時を越えて見入ってしまいます。
もう一棟は外島家住宅。明和8年(1771)の建築物です。旧慶徳組の郷頭を務めた家です。やはり曲り家で、なんと230年前に建てられた建物なんです。すごいなあと感心する一方で、人の住んでいない住宅はどこか乾燥していてかわいそうだなと思ってしまいます。住居とは、人が住んではじめて本来の姿になるものだと感じます。保存や展示の意味は理解できますが、人の息づかいが絶えた家はとても悲しいものだと思ってしまうのです。