喜多方の「街づくり」

tamon-wat2004-10-04

  • 「地域の文化資産を再発見、再認識すること。」

喜多方とご縁ができて、喜多方の持つ独自性、魅力というものを考える機会が増えました。歴史や伝統を見聞きするたびにどんどんと喜多方が好きになっていきます。今、私たちの世界はグローバリゼーションとローカリゼーションとが同時に進行する時代を迎えています。ローカリゼーション、つまり地域の活性化が重要な要因であることはいうまでもありません。喜多方には「蔵とラーメン」というブランドが確立しています。そのブランドにより年間100万人もの人々が訪れています。素晴らしいブランドを持っているのです。しかしながら、私は「蔵とラーメン」だけではないとも思っています。まだまだたくさんの財産があります。もっともっと自らの財産に眼を向けて欲しい、気がついて欲しいと思う所以です。
実際に喜多方で生活をしている人々は、足元の財産に気がつかなかったり、慣れすぎてしまって忘れていたり、あるいは承知していてもどう活かせば良いのか考えあぐねていたりしがちです。これはどこの地域でもありがちなことですが、こんなときには外側、外部からの視点が有効です。外部からの視点によって、当たり前だったものにもう一度光を当て、切り口を変え、見方を変えたりして新たなる価値を付加することが有効だと考えています。
喜多方は「雛の地」です。幹線を遠く離れていたが故に独自性を失わないで済んだのです。利便性一辺倒に犯された街にならずに済んだのです。均質化されたスーパーマーケットのような街にならずに済んだこと、喜ばしいことだと思っています。
「何にもないよ、しいていえば緑と水かな?」、「みんなのんびりしているからね、まあお人好しが多くて、拝金主義者は少ないよね。」 これらはみな資産になる価値があると考えます。「何もないこと」、「他の場所とは違うこと」が魅力であり、資産であるといえるのです。
今こそ均質化されていない喜多方の出番であると思います。時代も後押しをしていると思います。喜多方の歴史や伝統文化の中にたくさんのヒントがあると思っています。伝統とは、ただ守っていくだけのものではありません。時代に呼応して時には形を変え、創造という付加をつけて新たなる資産になるものだと思います。
この地域の伝統産業の中にもヒントを見出すことができます。例えば漆器産業、従来の枠組みを超えて他産業との提携を考慮してみる。既にパソコン、カメラ、自動車産業と提携して成果をみた企業も存在します。アクセサリー、ファッションとの連携も考えられます。桐工芸でも洋楽器への試みを見ています。酒造業界では、軽いお酒、料理に合うアルコール度数の少ないお酒の開発が歓迎されるのではないでしょうか。
「Old but New」古くからの伝統の中から、現代に通ずるものを見出すこと。要は常識に逆らってみること、疑ってみること。違った方向から光を当ててみることだと思っています。
観光振興にも不十分なところがたくさんあります。私は毎週訪れる旅人でもあります。旅人の眼で感じることがたくさんあるんです。先ずは「挨拶」の少ないこと。
人のこころを動かすものは、やはり人のこころでしかないと思います。
喜多方の人は善人が多いこと、承知しています。しかし同時に、もてなしの気持ちを表すことはとても下手だと感じています。街を歩いていても「こんにちわ」の挨拶を聞くことが少ないのです。明らかに観光客だとわかる人が地図を広げて首を傾げていても「どちらへ?」と声をかける市民の姿をみることが少ないのです。市役所の観光課やあるいは観光協会から商店街の皆さんに「街角案内人」とか「店先ガイド」とかを委嘱してみてはいかがでしょうか。胸につけるプレート代くらいの出費で済みますし、街中の人の意識が格段とアップすると思います。ご検討願います。
休息スポット、腰を下ろして一息入れる場所、ベンチも不足しています。街の真ん中をきれいな川が流れているのに利用されていません。統一された案内板や看板も不足してます。まだやること、やれることたくさんありますね。
確かに喜多方は文化の香り高い街であります。文化都市です。もっと内容を充実することができる街でもあります。もっと光輝く喜多方にするためにも自らの歴史・文化資産に眼をむけることから始めませんか。新しいことは他所の街にまかせましょう。
喜多方は伝統の文化資産を更に磨いて、新しい魅力を創生するのです。喜多方の持つ歴史・文化資産が新しい喜多方の魅力を作り、新しい事業を創出していくのです。
若い次世代の人たちの仕事の場所ができるということにつながります。喜多方の伝統文化が、喜多方の経済を牽引していく姿が現れると思います。
喜多方には年間100万人のお客様がみえられます。新しい魅力を創出して、もう1000円使っていただきましょう。そうすれば100万人×1000円=10億円。
すなわち10億円の新しい事業が誕生します。新しい事業を始めていきなり年間売り上げ10億円にすることはとてつもなく難しいことだと思います。しかし既に実績のある100万人の皆様にもう1000円使っていただくことは可能だと思うのです。
実現のヒントは自らの文化資産にあり。先ずは自らの文化資産を再認識することから始めましょう。文化が経済を牽引する。他の街とは一線を画した「街づくり」こそ、喜多方の進む方向だと思っています。
ご意見をお待ちしています。