温故知新 願成寺(がんじょうじ)

tamon-wat2004-10-09

市内北部、上三宮町の中心にある古刹です。浄土宗の寺で、山号は叶山。この一帯が古来より「加納の荘」と呼ばれていたことに起因しています。開山は嘉禄3年(1227)、鎌倉時代の初期にあたり、当時の領主佐原五郎左衛門の発願と思われます。
街道の面影を十分に残す上三宮の集落のほぼ真ん中に位置し、山門からのアプローチには両側に杉の古木が連なり、手の込んだ彫刻にあふれた仁王門が古色に満ちて迎えてくれます。格の高さを感じるお寺ですね。
このお寺での一番の驚きはご本尊の仏像です。阿弥陀三尊がご本尊なのですが、私は驚きました。本格的な阿弥陀三尊来迎様式のご本尊だったからです。像高241cm
、脇侍の観音、勢至両菩薩も128cm。三体とも寄木造りに漆箔、玉眼を嵌め込んであります。ご本尊はいわゆる「丈六」(一丈六尺)の坐像でゆったりと来迎印を結んでいます。両脇侍は膝をそろえる、つまり正座の形ですが正式には「跪座」と呼ぶ姿をとっています。この阿弥陀三尊を拝観して、私は京都大原三千院阿弥陀三尊を思い出しました。同じ様式なんですね。玉眼が入っていることで鎌倉時代の仏像とわかりますが、おそらくは開山と同時に開眼なされた阿弥陀三尊と思料されます。国重文指定
。俗に「会津大仏」と呼ばれていますが、この名前、私は少し疑問です。大きい仏様だから「大仏」との庶民信仰の表れだとは思いますが、「大仏」ではこの阿弥陀三尊の本質、価値、重要性が上手く伝わらない危惧があります。現に私も「大仏」だから昨今のコンクリート製の仏様かなと思っていたのです。「願成寺阿弥陀三尊来迎像」と正式名称も何となく堅苦しい響きですが、この仏様や寺域の持つ素晴らしさを一言で言い表すことができる呼称はないものか?いつもそんなことを思ってしまう大好きなお寺なんです。


  • 「蔵の街・アートぶらりー」開幕

喜多方市内の美術館、ギャラリー、蔵、店舗が連携して美術展などを開く「蔵の街・アートぶらりー」がことしも開幕しました。同時期に各所で展覧会を開くことで見る側の回遊性を高め、蔵の街の素晴らしさを認識していただこうとの主旨で始まったこの街中美術展。今年はもう4年目になりました。芸術の秋、蔵の街を散策しながらたくさんの「美しいもの」に触れてみてはいかがでしょうか。

  期間:10月8日〜10月17日
  会場:市内20箇所
  詳細:喜多方シティFM(tel0241-22-1002)

喜多方はこんなすごいことをサラッとする街なんですよ。嬉しくなります。