晩秋の雑木林

tamon-wat2004-11-10

ついこの間まで色づいた葉がきらびやかな錦を織り成していたのに、ふと気がつけば林の中は陽の光であふれ、仰ぎ見れば澄んだ秋の青空がまぶしいほどに私の眼を射しています。足元にはふんわりと、暖かそうな落ち葉の絨毯が出来ていて私の歩みを優しく受け止めてくれます。
にぎやかなさえずりが聴こえてきます。私は裸になった樹木の枝々を見上げ森の歌姫を探しました。ピーコピーコ、ジージー、チュルッチュルッ。いろんなさえずりが混じっています。あっ、小さな姿がたくさん見えてきました。小鳥の群れでした。私の眼の前を楽しそうに飛び回っています。コガラです。あっシジュウカラもいます。ヤマガラの茶色い胸も見えました。カラ類のコミューンです。冬が近づくとカラの仲間はコミューンを作ります。楽しそうに見えるのとは裏腹に、群れを成してこの長く、厳しい冬を乗り切ろうとするのです。20羽から30羽のコミューンを形成して冬を迎えるのです。種を超えて力を寄せ合って冬越しをする野鳥の知恵を、今年初めて見る事ができました。「頑張れよ。」小さな生命たちにエールを贈りました。晩秋の雑木林では、もう冬の準備が始まっていました。小さな鳥たちの群れを見送ると、私は小さくため息をついて私を待つ現実の世界へ踵を返しました。