黄金の舞い

tamon-wat2004-11-20

音も無く黄金の末廣が舞い落りている。
私は古い拝殿に腰をおろしてぼんやりと落葉を見つめている。
今を舞う大銀杏の落葉と、
幾百年の沈黙を守る古色の拝殿と、
過去と現在とが優しく私を包んでいる。
ゆっくり、ゆっくりと安堵感が浸していく。
母の胎内のように暖かく浸していく。
陶然と酔う私は、末廣の舞いの向こう側に、
悠々と流るる時を見ているのかもしれない。
限りあるもののはかなさをもって、
限りないものの大きさを測ろうとしているのかもしれない。
いずれにしろ、
時間という羊水のなかで私はこの安らぎに浸っていたいのだ。
黄金色の暖かさにずっと浸っていたいのだ。


  黄金なる永き時間に包まるる 
          神の与えし安らぎを識る
     
              新宮熊野神社「長床」にて