「山笑う」そして「雪形」

tamon-wat2005-05-13

毎年この季節になると春の山々を見やるのが私の楽しみになっています。身近な里山は歳時記に出てくる「山笑う」という様相。遠くの高山は残雪が美しく輝き、「雪形」が出現して私の眼を楽しませてくれるのです。
「山笑う」、遠く中国北宋の時代から言われてきた言葉だそうで、明るくなった日差しのもと、山桜が咲き、柔らかな新緑に包まれた生気に満ちた山の姿を表現した言葉です。
「雪に閉ざされていた長い冬を越えて春を迎えたとき、山々には色取り取りの花が咲き、鮮やかな緑に覆われ鳥たちの声が響いて・・・待ち焦がれた春を迎えた人々の心の叫びだったのかもしれないね。そんな山の様相を「山笑う」というんだよ。」と友人が教えてくれましたっけ。なるほど山々がほがらかに微笑みを浮かべているような、そんなふうに見えますね。ご近所の里山を眺めてはいかがですか。ひょっとしたら大声で笑っていたり、はにかむような笑顔だったり、里山はいろんな表情を見せてくれると思います。
「雪形」
残雪の描く芸術です。昔は農耕生活と堅く結びついていました。農事暦です。この雪形の出現を見て、農作業開始の目安にしてきました。種まき、苗代、田植え、わらびの採取時期など生活に密着した暦として身近なものであったということです。現在では、気象観測の充実や農業技術そのものの進歩などにより、暦としての意味は無くなってしまいました。忘れ去られようとしている雪形なのですが、地方特有の農耕文化として再び認識をしてもらいたいものです。喜多方も雪国です。雪国の景観や観光資源、お国自慢としての位置づけをきちんとして、子供たちの教育、自然観察などに活かして頂きたいと思っています。
さて、その雪形ですが、喜多方近辺にある代表的な雪形をいくつか紹介いたしましょう。
まずは磐梯山
先週から今週にかけてとても美しい雪形を見ることができました。山頂直下、南西斜面に現れるのが「虚無僧」です。「白狐」と呼ばれることもあります。個人的には4月下旬の頃には「白狐」、5月上旬からは少し細くなって、まさに「虚無僧」の姿がくっきりと描かれると見ています。ゴールデンウィークの頃から中旬にかけては磐梯山の下を通るのが楽しみなんです。さてあなたは「虚無僧」を発見できるでしょうか?
そして飯豊山
飯豊山塊は広大ですので、実はたくさんの雪形が伝承されています。代表的な雪形を二つ上げておきましょう。一つは駒形山の「種まき馬」。会津から見て山塊の右端のピークが飯豊の頂上2105Mです。その頂上左側直下に右(東)を向いて前足を上げ、天空へ飛び立つような姿の白馬が見えます。これが駒形山(2038M)の「種まき馬」です。
そして反対側、左端のピークの右直下に見えるのが大日岳の「飯豊牛」です。そのほかにも笠懸山の「虚無僧」や、牛が岩山の「寝牛」、場所の特定はできていませんが「代掻き馬」とか「種まき爺様」なんて雪形まであってなにやら楽しげですね。最近では一部の岳人の間で新しい雪形を見つけようなんて素敵なたくらみも行われているようで、嬉しくなってしまいますね。喜多方の市民による「私の見つけた飯豊山の雪形写真展」なんてものを開けることを夢見ているんです。さあ、あなたには飯豊山の雪形をいくつ見つけることができるのでしょうか?


  • ジモッティ(喜多方市民)の行くラーメン店

新しいお店を紹介しましょう。「喜一」です。
澄んだスープに極太の麺、そうですねちょっとした饂飩くらいの太さです。実は私は細めん党なのですが、そんな私でもおいしく食べられました。太麺党の方は見逃せないお店ですぞ。あえて難点をいいましょう。わずかに塩気が強いかもしれません。もっとももう少し暑くなれば汗ばみますので、これからの季節を考えてそうしているのかもしれません。微妙な塩梅ですので逆に美味しいと感じる方も多いとは思います。肉体労働から遠ざかっている私だからかもしれません。
店名の「喜一」。曽祖父様のお名前から取ったとのこと。曽祖父の吉田喜一郎様はお医者様で、あの野口英世博士と会陽医院で席を並べてともに学んだというご学友。喜多方で開業なさった高名な方でした。野口英世ブームもありますので「なるほど」とは思いましたが、味の勝負を忘れていることはありませんでしたので私の中では88点と高得点でした。ラーメンのほかには「喜多方丼」もお勧めです。ご飯と太麺の上にスープをあんかけにしてあります。なかなかいけると思いました。「当たり!」と思えるお店でした。


  • 雪形の写真をと思いましたが、残念ながら良い写真がありません。かわりに裏磐梯のあちこちで咲き始めた水芭蕉の姿をお届けいたします。