梅雨の月

tamon-wat2005-06-25


風呂上りのほてった身体をもてあまし、下駄を履いて夜に出ました。
しっとりとした暗い大気が心地よく感じます。

ふと、
東の山の上空を見やると、稜線を浮かび上がらせて明るい夜空が広がっています。
と、見ているうちに月が顔を覗かせました。
半月より大きく、満月には足りない、そんな月が白々とした光を放って東の空を上ってくるのです。
月は鮮明ではありません。
ベールを被ったようなボンヤリとした明かりです。
「梅雨の月」
そんな言葉が胸をつきます。
梅雨時の月は湿った大気がベールをかけて、こうボンヤリとした光を送ってくれます。
「これこそ梅雨時の夜空にふさわしい月じゃないか。」
私は新しい宝物を見つけたような気がして、じっと不鮮明なる月を見上げていました。

梅雨時の月はどこか優しげです。
ボンヤリとした輪郭が、月を見上げる人の心を受け入れ、包み込んでくれるかのよう。
明瞭でない、鮮明ではない輪郭こそ、他人を受け入れる優しさのオーラなのかもしれませんね。

私もそんな不明瞭な輪郭を持ちたいと思いました。

「クション!」
小さくくしゃみをして、すっかり冷えてしまった身体を暖かい家の中に運びました。

       夕の雨、すぐにあがりて夏至の月


  • 雨乞い

梅雨入りしたというのに本格的な雨が降りません。
水の豊富な会津ではありますが、こう雨が降らないと田んぼの青苗も少しかわいそうです。
昨年の今頃は台風の上陸が頻発していました。自然のメカニズムというものは人知を超えるものですね。
田畑の作物や庭木、そして野山の兄弟たちのために雨乞いをすることといたしましょう。
夏至をピークにして野生の生命が続々誕生しています。
いつもの林道ではコガラの巣立ちが集団で始まっていました。せっかく生まれた生命です。
豊かな水の恵みあらんことを・・・。


  • 夏蕎麦の花

今朝も、いつものように通いなれた山腹の道を走っていました。
緑濃い季節になったので劇的な自然の変化を期待もしていませんでした。
カーブを曲がったときです。
私は思わずブレーキを踏んでいました。

蕎麦の花です。
真っ白な蕎麦の花が、一面に咲いていました。

一年振りです。

私は車を降り、蕎麦の花に顔を埋めました。
驚きと、そしてちょっぴり感激の光景でした。