梅雨明け

tamon-wat2005-07-20

産まれたての水の流れだ。
空の青さを水底の小石に届け、
川岸の深い緑に染まっている。
大小の沢瀬が醸す癒しで渓谷は充満していた。
心地よい瀬音を聴きながら、私たちは更なる上流へと向かう。


梅雨明けを思わせる晴天の暴力に耐え切れず、
ひとときの涼を求めて這いこんだ原始の渓谷。
期待どおりの涼風が迎える。
沢瀬のゆらぎが私を包み込む。
深い緑が吹く風を浄化しているのだ。


小休止を繰り返して、最後の大曲りを回り込んだ。
対岸の段丘の上に、緑に埋まる湯小屋が見えた。
渓谷を渡る小橋の上には浴衣がけで涼をとる湯治客の姿も見える。
私たちは力を込めてずんずんと小石を踏みつけていった。


お湯の楽しみは後に取っておく。
私たちは赤いトタン屋根の湯小屋の前を通り過ぎて、
渓谷をふさぐ砂防ダムの滝前に出た。
渓谷はここで左岸からの流れも加えて水量豊かな流れとなっているのだ。


大きな石に腰を下ろして、私たちは遅い昼食をとる。
時々は霧のようなしぶきを浴びて、少し声を大きくして心地よさを述べ合うのだ。
渓谷の深呼吸は、街の息遣いの何回分に相当するのだろう?
愚にも付かないことを思いながら、弁当をつかい、流れる沢瀬にこころを奪われていた。


対岸の湯小屋ではタオルを腰にまいた湯治客が沢風を受けていた。
半白な頭の私たちをいぶかしげに見ている。


私は岩に寝て、両岸の高みに狭められた青い空を見上げた。
「梅雨はどこかにいっちゃったわねえ・・・」
傍らの声に口の中で返事をすると、
私は、もういちど深く息を吸った。



  • 「仏都会津・仏像の美」写真展と講演会

足元の文化財
会津の地が内包している仏教文化のすばらしさを見つめてみてはいかがでしょうか。
私の好きな「大和川酒造北方風土館」にて下記のとおり写真展・講演会が開かれます。
他所から見えられたお客様はもとより、
地元の皆様にもぜひご覧になっていただきたい催し物ですね。
喜多方には素晴らしい文化財と共に、
こうして喜多方の財産を知らしめていこうとご努力を重ねる人たちがいること。すごい街だなあと感心しています。
こんな気持ちが連綿として続いていることこそ喜多方の一番の財産なのだと確信しています。
喜多方はすごい街ですよ。ぜひお出でください。笑顔でお待ちしています。

1.「藤森武写真展(仏都会津・仏像の美)」
      8月12日〜8月29日  9:00〜17:00

2.「第一回講演会」
      8月13日

      「会津への神仏渡来とその歴史」 講師 若林繁氏
                  14:30〜15:50

      「カメラを通した仏像の美」   講師 藤森武氏
                  16:00〜17:20

3.「第二回講演会」
      8月20日

      「新宮熊野神社の謎」      講師 山中雄志氏
                  14:30〜15:50

      「会津の魅力と古美術の旅」   講師 小林等氏
                  16:00〜17:20

お問い合わせ先 : 大和川酒造 北方風土館
            0241−22−2233


清らかで美味しい水が、一年を通して絶えることなく流れています。
地元の人はこの水をタンクに汲んで持ち帰る方も大勢います。
私も時々はそうしています。
車でお出でになる方、こんどは水のタンクを用意されてはいかがですか?