友あり、遠方より来る

tamon-wat2005-08-28


幾度かの大雨と、東の海上を駆け抜けていった台風とが、会津盆地の夏をすっかりと洗い流してしまったようです。
雨の後に残った夏のかけらは、いくばくかの残暑と遅咲きの朝顔たち。
夕闇が迫れば、虫の音ばかりが聴こえてきます。
駆け足で去っていく夏の後姿に、少しく寂寥感を感じてしまいます。
この季節の言葉を探せば「新涼」という言葉でしょうか。
秋という新しい季節の気配を指して、生活の中で少しずつ訪れる小さな秋を感じるといった初秋の言葉になろうかと思います。
季節と季節のはざまで、あなたはいったいどんな秋を感じていらっしゃるのでしょうか?



一昨日、久方振りに懐かしい顔に逢うことができました。
信州松本の松下茂夫さん。私は「しげちゃん」と呼んでますが、彼が喜多方に来てくれたのです。
昭和46年に大学の同級生として知り合い、以来36年の長きにわたって私が必要とし続けている友人です。
若かりし日々、私はいつもしげちゃんと一緒にいました。
ちょっとした時間ができると、松本の彼の家に入り浸り、ご両親様にはひとかたならぬお世話を頂き、甘えさせていただいたのです。
そして、彼を通じてたくさんの松本の友人に出会えました。
松本という土地をもちろん好きなのですが、大事な人がいるからこそ、もっとその土地「松本」が好きになったというのが事実に近いでしょうね。
人がいるからその土地が好きになるのです。
そんな場所「松本」を持てたこと、幸せに思っています。


しげちゃんと喜多方の街をベロタクシーで歩いてみました。
ドライバーはあのブライアン君です。
以前、ベロタクシーは喜多方にそぐわないと主張していました。
いまでもその考えは変わらないのですが、なにしろ知り合いの皆さんが一生懸命に努力を続けています。
歩く早さの街がどう写るのか興味もありましたので、いい機会とばかりに乗ってみたのです。
なかなかいいものでした。
ブライアン君のガイドもなかなか堂に入っていて十分に聴けました。
ベロ関係者のご努力に敬意を表します。
しかし、そぐわない感じはまだ否めません。
形と色の問題だと思いました。
形は変えられないと思いますので、せめて色をレトロ調、たとえば臙脂色のようにしただけで印象がガラリと変わると思いますので、ぜひご検討を願いたいですね。


おっと、脱線です。
しげちゃんと昔のように肩を並べて歩いていると、時空を超えてしまいます。
久しぶりであることなど忘れてしまいます。
互いに歳はとりましたが、一緒にいるとあの日とまったく同じ近さにいます。
あらためて、こんな素晴らしい友人を持てたこと嬉しく思っていました。
同時に、しげちゃんの表情やしぐさに、今は亡きしげちゃんの父上を思い出していました。
英男さん。
大変なお世話になったのに、何の御礼もできずに終わってしまいました。
いや、生きている母上にだって何もすることができずにいます。
そんな後悔もあるのですが、現実には何もできません。
目上の人から受けた恩義というものは、なかなか返せるものではありませんね。
だからこそ、今度は自分より目下の人に対して世話をしていかねばならないのだとも思っています。
「娑婆は追いがけ」という言葉には、そんな意味もあるのかなあとボンヤリ考えていました。


しげちゃんが気に入ったのは「楽篆工房」。
高橋政巳先生に紹介しました。
しげちゃんは先生のお話に感心することしきり。
「喜多方には凄い人がいるなあ。」としげちゃん。
「だろ!喜多方って変な街だよな。」と私。
喜多方の文化度の高さを感じ取ってくれたようです。
文化都市「松本」に住むしげちゃんですからね。
私も一番知ってもらいたい喜多方の魅力を感じてもらえて、とても嬉しかったのです。



しげちゃんととった夕食は喜多方ラーメン
ラーメンでいいのかよ?といっても「ラーメンが食べたい。」とのこと。
二人で向かい合って食べたラーメンは格別の味がしました。



短い滞在でしげちゃんが何を感じてくれたのかはわかりません。
しかし、「来て良かったよ。」と言ってくれたしげちゃんは、きっと私の期待以上の感触を持ってくれたのだと思ってます。
FM喜多方の玄関前で撮った久しぶりのツーショット。
しわや白髪が増えてはいても、ちっとも変わらぬ二人が写っています。
時間も距離も超えてしまうしげちゃんと私が写っています。