秋の彼岸

tamon-wat2005-09-24

敷布団を2枚にし、掛け布団にも厚手のものが必要になってきました。
もはや夏の後姿はどこにも見えず、秋の気配のみが周りに充満しています。
半袖シャツの快適さともしばしお別れ、長袖のシャツの暖かさにホッとする今日この頃です。


昨日は秋の彼岸の中日でした。
汗ばむほどの良い日和で、川の土手道をのんびりと歩いてお墓参りに向かったのです。
我が家のお墓は小高い丘の中腹にあります。
親族の墓地が仲良く並んでいて、四季折々の街並みを見下ろしています。
ちょっとした坂道を登るのですが、80歳の母にはだんだんときつくなってきたらしく、わずかな距離を幾度か立ち止まりながら、ゆっくりと登ってきました。
そういえば祖母も、この坂道を大儀がって晩年は墓参にくることなく、玄関の前でお寺の方角に向かって手を合わせていたこと、あの姿を思い出していました。
母の墓参がなるべく長く続いてほしいものだと見守っていたのです。


墓地は社交の場でもあります。
近所に住んではいても、格段顔をあわせないでしまう人がたくさんいます。
お墓参りという場所で「ああ、しばらくでした。元気でした?」なんて挨拶が飛び交って、
行きかう人とも「こんにちは!」。
お墓のご先祖様も、そんな子孫の姿をみて微笑んでいるのでしょうね。
昨日も旧交を温める人々があちこちに見られました。
過去から現在、そして未来へと、途切れのない時間が流れていることを実感する。
墓地とはそんな場所でもあるようです。


  • 誕生日

この一週間ほど月を見る機会がありました。
というより、夜空にきれいな月が上がっているために、否が応でも月が眼に入ったというのが本当でしょうか。


一週前の17日は私の53回目の誕生日でした。
この夜はFM喜多方のホールでとあるコンサートが開かれたのです。
友人の唐橋郁さんたちのグループ「C4」のコンサートでした。
唐橋さんは声楽家、迫力のソプラノです。ピアノは松本さん、小さい時からピアノが弾きたくてしようがなかったという物静かな好青年。そしてサックスの板橋さん。クラシックから始めた技量は抜群ですね。
この3人のトリオが「C4」なのです。
3人しかいないのに「C4]とはいかに?
ひょっとすると私もメンバーのひとりかも?なんて出番を待っていましたが、当然声は掛かりませんでした。う〜ん残念!
ともあれ、ソプラノとサックスって、どんな音楽になるのかな?と楽しみにしていたのですが、聴いてみてびっくり!
唐橋さんのソプラノと板橋さんのサックスが、まるでハモっているかのごとくホールを満たし、私たちを包み込んでいたのです。
陶酔のひとときでした。
音楽に包まれた誕生日とは、なんともぜいたくなものです。


スタジオを出ると、雄国の山の上に白々と月が輝いていました。
まさに玲瓏の月。
月明かりの中を、幸福感に満ちて歩いていきました。
私は立ち止まり、傍らのベンチに腰をおろして月を見上げます。
「天鏡」。月をこう呼びます。
天にある鏡は、私の姿や表情を写してはくれませんが、どうやら私のこころを写してくれるようです。
静かに月を眺めていると、来し方や過ぎていった日々が思い流れていきます。
息をし続けている楽しさとか、苦しさとか、寂しさとか・・・
「へっくっしょん!」
私はくしゃみをきっかけに涙目を拭いて立ち上がりました。
車のエンジンをかけると、つけておいたラジオが音をたてます。
民主党が・・・」
いちどきに現実の世界へ戻されてしまいました。


 「音楽の 余韻を照らす 小望月」

 「来し方を 思い眺むる 月見かな」


  • 写真はススキの花です。会津盆地ではコスモスとススキが満開。秋風に吹かれて優雅にたなびいています。風になびくその姿が印象的でしたので車を止めてパチリ。わざわざ刈り取ってお月見に備えなくても、野にあるものは野のままに眺めるのが一番ですね。